平敷屋朝敏は、どこが凄いの? 前編
平敷屋朝敏は、西暦1700年産まれの
琉球随一の和文学者です。
しかし、文学者って武将と違って
どこが凄いのか分かりにくいですよね?
平敷屋朝敏は王族に連なる名家の出で
家風から日本文化に親しみ、
18歳で、江戸立ての琉球使節に随行しています。
この時に近松門左衛門の人形浄瑠璃を見て
当時、人気のあった男女の悲恋物、
いわゆる心中物に影響を受けて帰国後、
自分でも作品を書き始めます。
最初は真似事に過ぎない作品でしたが、
和文学者だけあって、メキメキ腕が上がり、
首里の文化人の間では
名が知られる存在になります。
そんな朝敏の凄いエピソードを一つ
ある王子は、朝敏から
書いたばかりの本を
借り受けたのですが、
うっかり無くしてしまいます。
まさか、無くしましたとは言えないので王子は、
「ある人が、あなたの本を欲しがるので、
つい、あげてしまった、すまないが、
もう一冊、同じものをくれ」
と嘘をつきました。
ところが、朝敏は、書きあげたばかりの新作で
写本をしていないので、本は王子に貸した
一冊しかありません。
仕方なく、内容を思いだしながら
一から書いて王子に渡しました。
しばらくすると、無くしたと思っていた本が
出てきたので、二つの本を見較べると、
びっくりした事に一字一句、
同じで違う所が無かったそうです。
朝敏の超人的な記憶力を表す逸話でした。