■尚巴志の直筆?部下の安全を頼む手紙
琉球の統一者、尚巴志は書状も形式ばったものが多く
そこから個人を窺い知るのは難しいものがあります。
しかし、「志 布志 阿多文書 」 と呼ばれる八通の
書状に、代主という肩書で尚巴志の手紙が、
含まれているのではないか?という説があります。
その内容は以下のような感じです。
「先だっての私の拙い書状に極く懇意な
返事を頂き、大変に喜んでおります。
また重ねて案内を申し上げますが、
頂いた返信の内容をとても頼りにしております。
私共の船は普段、風を頼りにしておりますが、
万が一の時には、あなた様の御事(警護)が頼りです。
以上の、細々とした事までも、すべて
使僧が申していた事をお伝えしておきます」
原文は短いのに難解で解釈違う部分もあるかもですが
これは、当時の九州探題、渋川道鎮に宛てた
手紙であるので、倭寇がウヨウヨした海域での
琉球船の航行の安全を重ねがさね願ったもの
ではないかと思います。
ここからは、琉球から派遣した家来の無事を願う
尚巴志の繊細な優しさが伝わってきます。
度々、武力を用いて戦った為に、武断の人と
思われがちですが、本当は優しい人だったかも
知れません。